2021年3月YOHEI OHNO(ヨウヘイオオノ)は2021年秋冬コレクションを渋谷のとある一室にて発表した。テーマは「The New Phantom」。
今期はどこか「温かみ」を感じた。商品の色合いもレッド、ブラウン、ベージュと暖色系で親しみやすい。過去のコレクションからYOHEIOHNOには「無機質」というイメージがあり、いわゆる一般的な
人が普段着ている身近さから離れた印象があったから、より一層、そう感じたのかもしれない。例えばニットワンピースは袖部分にアーガイル模様が編まれている。最後の一手間を手作業で行ってお
り、これは筆者が感じる「温かみ」だ。
筆者は時折、YOHEIOHNOのコレクションを「近未来な服」として紹介している。これはただ、現代人が描く未来の生活とは違うイメージで、全く新しいというよりは、少し既視感のある我々と距離の近
い世界観。それは「ファッション以外の分野の歴史やデザインを遡って、現代では考えにくい技法や思想に基づいた資料を見たときに、まるで未来を見ているかのようなタイムレスな感覚に陥る。」と
いうデザイナー大野氏の原体験からの発想であった。それを象徴するのが、クリノリンと呼ばれる1850年代後半の西洋でスカートに膨らみを持たせるために作られた骨組みから着想した、ウェストポー
チと組み合わせた今期のアイテム。当時は針金など硬いもので構築していたものを、硬いポリエステルのみでハリ感を出し、スカートの内側ではなく外に身につけるアイテムへ変化させたのは、YOHEI OHNOらしい技法だ。
また前シーズンの展示会で、関係者向けに発表した着物の古布でドレスラインを作ったコレクションは「3711 Project」としてスタート。着物の反物は37cm幅×11mの規格であることから3711と名付けられ、本コレクションと並行し、古布の良さを届けるため、現代のドレスに変換し、展開していく予定だ。
Brand: YOHEI OHNO