2020年9月YOHEI OHNO(ヨウヘイオオノ)の2021年春夏コレクションが渋谷のとある一室で発表された。
今シーズンはブランドの雰囲気を残しつつも新しいフォルムに挑戦していた。筆者が注目していた肩のラインが特徴のオリジナルジャケットは封印、代わりに新しくソファーの肘掛けを肩のラインにデザインしたジャケットを発表。さらに、レース生地を繋ぎ合わせたワンピース、ドレープをふんだんにあしらったドレス、四角く切り取られた布を繋ぎ合わせスカートに仕上げたアイテムなど、1点1点力強さを感じた。デザイン性の強いアイテムは日常で着やすい色や生地感を使用しバランスをとっている。「今季は1点1点納得のいくまでデザインを意識した」とデザイナー大野氏。
今シーズンの発想源は神聖な場所である神社だそうだ。前シーズンでも発表したポンチョとドレスがドッキングしたアイテムは、今シーズンでは肩のラインをシャープにしたデザインで、社を彷彿させる型を取り入れ神主の装束のような気品の高さを演出。筆者は神社という言葉から和のテイストを取り入れたのではないかと感じた。チェック柄のアイテムも藍染の文化を感じるような色合いで市松模様という言葉がしっくりくる。そしてルックの後ろには裸体の女性が描かれている。西洋絵画の描画法であるが、ねはんのようにも見える。コロナの感染拡大で先が見えない世の中で、ファッションのあり方とは何か。筆者は、気分をあげるものであり、精神を落ち着かせるものであると考える。デザイナー大野氏が好む建築の中でも今回は「和の精神」に着目し、コレクションで表現したと感じた。
今季よりドレスラインで着物の生地を再利用する実験的なアイテムを関係者のみ公開。サステナブルが重要視される社会で、モノづくりの工程をデザインするブランドとしてどう展開するのかに期待したい。
Brand: YOHEI OHNO