2018年10月に、koll(コール)の2019年春夏コレクションが展示会形式で発表された。
近年、LGBTによる運動が活発になり、「性とは何か」と考える機会が多くなってきた。ファッションにおいても、ジェンダーレスという言葉が広がりを見せ、一つの性別に絞らないコレクションを発表するブランドが多くなってきた。そんな中、改めてセクシャリティについて考えるデザイナーも増えていると感じる。kollは今シーズン、「女性らしさ」をキーワードにコレクションを発表した。
「私は女性で、女性服を提案している。改めて女性らしいもの、女性が魅力的になる服を意識した」とデザイナー楠原麻由氏はコメント。今シーズンのコレクションは、アイテム毎に隙間と曲線が意識されてつくられており、デコルテや肩などを部分的に露出して、自然に女性の色気が感じられるようデザインされている。ストライプ柄のように見えるセットアップは、女性の身体を彷彿させる曲線が隠されていたり、レースのプルオーバーにはグローブがついていたりと女性らしさを強調するアイテムが揃う。
筆者はkollを、アイテム毎に異なる色と素材、例えばファーとビニール素材を掛け合わせたりと、一点一点インパクトの強い服を提案しているブランドと捉えていた。今シーズンは一点一点の服ではなくコレクション全体に強い要素を散りばめることで、スタイリングでブランドらしさを継続させているとコレクションルックを見て感じた。アイテム単体ではシンプルな仕上がりで、コーディネートしやすい利点があり、より幅広い女性に寄り添った服となっている。
以前は、明確な女性像があり、それに基づいてコレクションを発表していたkollだが、今シーズンの女性らしさというキーワードから、楠原氏のパーソナルなものにコレクションが近づいていると感じた。
Brand: koll