2017年9月6日から9月8日まで東京・五反田 TOCビル13階にて開催された合同展示会「rooms experience(ルームス エクスペリエンス)」で、アパレルブランドtactor(タクター)2シーズン目となる2018 春夏コレクションが発表された。
コレクションテーマである「inBETWEEN」には世界情勢や宗教など様々な対立するものの間を見るという意味が込められている。テーマに沿った表現として黒と白の配色や硬いものと柔らかいものなど異素材の組み合わせから伺えるが、筆者は服の作り方・姿勢そのものに込められているように感じた。それは”和服と洋服の間”。例えば今シーズンのtactorのTシャツは平らなものに置くと四角い形をしており、そこから首と腕を通す部分をカットした平面的なパターンとなっている。また今回唯一プリント柄のトップスは日本の法被の形からきているなど、それぞれに「和服」の要素が落とし込まれている。和服はどんな体型や身長をしている人でも合う作り方をしていて、体に寄せることよりも着た人にできる服との隙間や空間が優美であるという文化がある。対象的に西洋は体に沿ったラインが美しいという文化である。今シーズンはアイテムそれぞれにウエストを締めるベルトが備わっていて、体の曲線を魅せてドレッシーに着るという和と洋の両方を1着で兼ね備えているのだ。
またオリジナルで作ったストライプ生地には黒と白の中に平和を意味する青が散りばめられている。相反する中に挟まれていても洋服を着るときは平和な気持ちであってほしいというメッセージが込められているのではないかと筆者は考えた。
前シーズンと引き続いて使用しているのはシルバーのラメジャガード生地とパイル生地である。デザイナー山本奈由子氏は日本のパイル生地の良さを世界に広めたいという思いがあり、毎シーズン取り入れている。愛媛県今治市で生産されている生地でタオルの使用だけではもったいないと考え、「ラグジュアリーへ価値を見出したい」と山本氏はいう。今シーズンのパイル生地は工場とともに開発し、前シーズンよりも引っ掛かりなどがなく肌触りの良い仕様へとこだわりを見せている。日本の技術を洋服を通じて世界に広めて行く姿勢が伺える。ぜひ手にとって肌触りを体感してほしい。
ブランド名の「tactor」はtactile(触覚、触知できる)をもとにした造語であるが、今シーズンのコレクションから視覚的そして触覚的にこだわりをみせていることがわかる。中でも一際目を引くラメジャガードについて山本氏に問うと「私の中で一番リッチな色なんです」と答えた。アイテムの中ではモノトーンの中に「差し色」として使っていて、筆者は「日常に少しの贅沢」を提案するブランドだと感じた。
Brand: tactor