Japanese fashion brands – Lyuray

tactor 2020AW Collection

2020年3月、tactor(タクター)の2020年秋冬コレクションの展示会が渋谷にあるビルの一室て開催され、新作発表がなされた。今シーズンのテーマは『public school』。

今期はブランドとして初めて、デザイナー山本氏による公式インスタグラムのライブ配信でもコレクションを発表した。会場は、旧小島小学校の校舎をリノベーションした、若手デザイナーを支援する施設である台東デザイナーズビレッジ。山本氏はここをアトリエとして利用していたのだが、制作拠点を変えることが決まり、この場所でのコレクション発表は最後ということ。そして日本では3月は学生の卒業式の季節であり、tactorもこの場所から卒業する。その意味も込めて「public school」をテーマにしたのだろう。

ライブ配信では小さく音楽が流れ、デザイナーの足音が聞こえる。静かな空間に「コツ、コツ」と古い木材の床にヒールが当たる音が響き、筆者は学生時代を思い出し、少しの緊張感とノスタルジーを感じた。壁にはイラストレーターの進士遥(Haruka SHINJI)氏による、2020年秋冬コレクションをドローイングした絵が会場を彩り、山本氏は一枚一枚丁寧に映していく。ラフ画のような絵の中に、tactorらしい服のラインをうまく取り入れていた。その後、2020年秋冬コレクションが並ぶラックに向かい、一枚ずつ手に取り、アイテムを映していった。全て映した後、最後に会場の窓から見える景色を映し出し配信を終える。短い配信であったが、山本氏がどのような環境のなかでコレクションを生み出したかが伝わってきた。

コレクションはブランドらしいアイテムが目立つ。先シーズンは、柄のない落ち着いた印象のラインと、ラメや箔プリントなどを取り入れた気合いの入ったラインが分かれるような雰囲気であったが、新作は2つのラインが融合されているように感じる。2020年春夏コレクションで「肩の力を抜いて可愛いと思えるアイテムを作れた」とデザイナー山本氏はコメントしていた。今シーズンはその感覚を持ちながらも、山本氏が得意とするコラージュのグラフィック、ラメ生地のプリーツスカートなどをしっかり表現しており、バランスのいいコレクションであった。

Brand: tactor

Text by Keita Tokunaga