Japanese fashion brands – Lyuray

YOHEI OHNO 2019AW Collection

2019年3月YOHEI OHNO(ヨウヘイオオノ)の2019年秋冬コレクションがレトロな雰囲気が残る原宿ニューロイヤルビル8F「creme de la creme.studio」にて発表された。

会場を入る前、私たちを出迎えたのは手の平サイズに作られたジャケット。それは数シーズン発表し続けている肩から腕にかけて丸みを帯びた型をしていた。例えばツイード生地で襟なしのジャケットといえばシャネルを思い浮かべる人も多い。YOHEI OHNOは長くファッションブランドを継続させる上で、名前ではなく象徴するシルエットでイメージを定着させるスタンスが伝わってくる。

今季はやさしい色合いや柔らかい素材が揃う。「新しい女性のフォーマルスタイルの提案」からコレクションを展開。30年前から尾州で作られているサマーウールに着目し、クラシカルな生地の素朴な色と柄をブランドらしいラインやウェストのシェイプに合わせることでモダンに仕上げた。このブランドが続けてきた独自のシルエットだからこそできる技。2018/19インターナショナル・ウールマーク・プライズのファイナリストに選ばれたブランドとして日本のウールの良さを広めたいという姿勢も伺える。また、ミリタリー風のトップスやバイカーのパンツなど、無骨さのあるディテールと、柔らかく透け感のある素材とのコントラストはブランドならではの表現で、男性が好むアイテムが女性らしく仕上がっている。

筆者がユニークだと感じたのはコレクションルック。新作のイメージが伝わるモデルに着せたスタイル、アイテム1点のみをアーティスティックに撮影したスタイル、そしてある女性の生活の中にアイテムがあるように見せる物語のあるスタイル。同じコレクションだが雰囲気が違って見える。デザイナーからの一方的なイメージではなく多角的に捕らえられてとても新鮮。一方はアートに、一方では生活感のある雰囲気に。デザイナー大野氏の審美眼は建築や工業製品にあるので、このり幅を可能とするのだろう。普遍的なコレクションルックに一石を投じていたように感じた。

Brand: YOHEI OHNO

Text by Keita Tokunaga